『お母さんはね、架樹がこうやってありのままでいられることが嬉しいのよ』
そう言って、頭を撫でてくれた。
『これからも、泣いたり笑ったり怒ったり。自分らしく生きなさい』
お母さんが亡くなって、病室を片づけている時に、ベッドの隣にある引き出しから見つけたメモ。
そこにはあたしに対する熱い想いと、手紙が残ってあった。
その時、あたしは大泣きした。
けれど、悲しみとかじゃなくて。
温かい涙だった。
「今のあたしは、お母さんのおかげなの」
たまにバカって言われるけど、あたしが素直に生きているのは、お母さんに言われたからだ。
「……そうだな」
そう言ってまた湊は、あたしの頭をポンッと撫でた。


