レモンな初恋




 ……懐かしいのか?


 なんか、違う。





「架樹?」






 校門から少ししたところでしゃがんでいるあたしに、聞き覚えのある声が降りかかる。








「おい、どうした?」


「……湊(そう)?」



 あたしは顔を上げた。



 楓(かえで)湊。

 家が隣の幼なじみだ。

 けれど高校は同じだけど、高校に入ってからクラスが離れてしまって、しばらく喋ってなかった。




「おはー。ってか今日休みだぜ?なんで来てんの?」


「……湊だって。」



 さすがに「男の子のことで悩んでたら」とは言えず、話を変えた。



「俺はバイト。ここ通るからさ。ってかちゃんと見ろよ。俺、私服なんだけど。」



 「あ……」と声を漏らした。


 確かに、湊はジーパンに黒いシャツで、その上からボーダーのカーディガンを羽織っているところから、学校に来たわけじゃないと分かる。