連也くんが話しかけてきた。
絶対こっち見てるよね……?
「見るよ、うん。」
あたしは顔を上げた。
目の前に、イルカとお兄さんが見えた。
そうだ、〝とりあえず〟なんだから。
深い意味はないんだ。
幼稚園の頃も、そんな遊びしたし。
そういう感じだ、きっと。
そんなのと一緒のわけがない。
そう思うけど、必死に納得した。
「さあ次は、輪っか通りです!」
お兄さんの言葉の後、イルカのコウちゃんが小さい輪っかを見事に通り抜けた。
「「おぉー!」」
一気に歓声が沸きあがった。
その時、チラッと隣を見ると連也くんは顔を赤くして俯いていた。
……自分は見ないの?
あたしは、てっきりバカにされてるかと思った。


