「ねぇ、連也くん?」
「おーい」
あたしより一歩前を歩く連也くん。
声をかけても返事が返ってこない。
「坂野連也くーん!」
「……うるさい」
やっと、連也くんは止まってあたしの方を向いてくれた。
「ねぇ、速いよ」
「あぁ……悪い。」
「さっきはありがとね」
「は?さっき?」
連也くんは意味が分からないと、首を傾げた。
「ほら、駅前の……」
「あー、性格ブスの」
「うん、かばってくれたんでしょ?」
「いや、ムカついたから。」
連也くんはそう顔を背けて言った。
「でも、ありがとう。ちょっと嬉しかったな」
「あー、はい」


