プルルルルルッという音が二回鳴った。
「はい、坂野ですけど。」
わっ!
あの低い声が、携帯から聞こえてきた。
「あ、れれれ連也くん!?」
あ、やばい。
と思った時にはすでに遅かった。
「……ぷっ。…架樹?」
連也くんは少し吹いた。
「う、うん。宮下架樹です」
「ははっ、何故にフルネーム?しかも、噛み過ぎ」
「へ、へへ……」
あたしはもう笑うしかなかった。
「…で?どうかした?」
少し笑い疲れたように、ふっとため息をこぼしてから連也くんは聞いてきた。
「特に、なにも……ちょっと確認?みたいな」
「あ、そう」
「あっ!けど切らないでね!」


