レモンな初恋





 坂野くんに近づけたみたいで、すごく嬉しい。



 仲良くなれた?


 友達になれた?



 今まで、たくさんの人に出会って仲良くなったけど、ここまで近づいていくことが嬉しいなんて思ったことなかったよ。




 なんか、坂野くんは特別みたいだ。



「お前、嬉しくねえの?」



 固まるあたしを見て、坂野くんがそう言った。



「なんで?」



 こんなにも嬉しいのに。


 トクントクンって、胸が心地よく鳴ってるのに。


 気づかないの?


「だって、もっと「ひょー!」とか言うと思ってたから。」



「ぷっ、なにそれ。」



 確かに、そんなこと言いそうだけど。



 ううん、他の子なら言ってた。



「……嬉しすぎて。」


 あたしは、そう言うと坂野くんの方を向いて、笑顔でこう言った。


「ありがとう」