レモンな初恋





 いきなり右手の甲に何か当たって驚いた。



「ぷっ、なんだよ「ふぉ!」って」


 そう笑いながらも、まだ坂野くんは手を離してくれない。



 あぁ、イケメンだな。


 笑うとか、反則じゃん。


 ちょっとえくぼが出来るとか、可愛すぎだ。



 坂野くんを見つめながら、顔が熱くなっていくのを感じた。



 坂野くんはどうやら、あたしの手の甲にペンで何かを書いているようだ。



「ほい」



 数秒後、坂野くんはあたしの手を離して、ペンの蓋を閉めた。



 自分の右手を見ると、数字が並んでいた。



「あっ」



 どうやら坂野くんの電話番号らしい。



「……いいの?」



「だって話せないじゃん。放課後なら、この姿で会えるし」



「……そう」



 なんでかな?