レモンな初恋




「嫌だ、学校しか話せないじゃん」



 そうか、坂野くんがこの姿になるのって珍しいよね。


 ってか学校でその姿になるはずない。


 つまり、話しかけんなってことじゃん!



「あー!話しかけんなって遠回りに言ったでしょ!酷い!」



「なんでそうなんだよ」


 坂野くんは呆れてそう言うけど、そういう意味としか思えない。



「だって」



「いや、周り」



「周り?」



「今日みたいにウザい奴が話してくるし、お前と話してたら女子が寄ってくる」



「そっか。でも、話せないじゃん」



 女子嫌いで、何故か男子も避ける坂野くんなら、理由も分かるけど……


「だな。……じゃあ手、貸せ」



 坂野くんは少し考えた後、そう言った。



「え、はい」



 よく意味は分からなかったけど、一応右手を坂野くんに差し出した。



「ふぉ!」