レモンな初恋



 本当に自己中なんだけど、すごく気まずい。



 この雰囲気が気まずすぎて、逃げ出したい。


 でも、出来ないし。



 でも何も言ってくれないし。


 ……あたしが話すしかない!


 まずは、謝ろう。


 それで……


 と、考えている間に。



「……俺さ、話しかけんなって言った。」


 坂野くんが、俯きながら喋った。



 ふー、良かった。


 そう思いながら、その低い声にドギマギする。


「……ごめん」


 それは、分かっていたし知ってたけど。


 今さら言っても言い訳にしか聞こえないだろうし、「だったらなんで?」ってなるよね。



「いや、謝らなくていい。」


「えっ?」


 なんでだろう?


「だって、い、やじゃなかったし」


 途切れ途切れに言う坂野くん。


 ……………………。


 嫌じゃなかった?