「架樹……」
「まだ……チャ、ンスはあるんだよ……?こんなにも近いんだよ……?あたしには、願っても来ないチャンスが。」
あたしは涙ながらに言う。
俯きそうな顔を上げて。
「許せないのなら、ムカつくのなら、言えばいい。ふざけんなって、嫌いだって。」
それでいい。
だからせめてもの願い。
「会うだけ会ってもいいじゃない。お母さんに、会ってよ。お願いだから……」
あたしはついに崩れるように地べたに座った。
あたしは、知ってるんだ。
連也くんの悲しそうな顔も、お母さんの悲しそうな顔も。
二人が想い合ってること、知っちゃったから。
だから、会ってほしい。
「……架樹。」
連也くんはあたしの隣にしゃがんで、あたしの頭を撫でた。
「お、ねがいっ……」
「……うん、分かったから。会う、会うよ。だから、そんな顔すんな」
連也くんを見上げると、優しく微笑んでいた。


