レモンな初恋




 その女の子、北村佑香(きたむらゆうか)は、まだニヤけていた。



 もう一度、坂野くんの方を見る。



 女子と喋るところ、今日も、いや、ずっと見てない気がする。


 ……1回も。


 と言っても、まだこのクラスになったばかりだし、仕方ないのかも。

 それに、坂野くんと同じクラスになったの、今年が初めてだもん。


 でも、そろそろグループが確立してきているのに。


 女子だけじゃない。男子だって、喋るかどうかだと思う。



 もしかしたら、あたしは女子でたった一人。


 いや、昨日は、男子よりも長く話していたんじゃないかな?



 例え、裏の姿だったとしても。


 ……ってか、裏の姿だったら、あたしが初かも?



 何故か、その事実にちょっとドキドキした。


 そういえば、あたしがもしかしたらこのクラスで一番最初に喋ったような……


 学校が始まって次の日に、隣だからってことで挨拶したんだ。


 その時に、「よろしく……宮下さん」って言われた気がする。


 だから、知っていたんだ。


 授業中に教科書を読む声を知っていたのもあるかもだけど、
〝宮下さん〟で分かったのは、この時、良い声だと思って覚えていたからだ。



「おーい、架樹。聞いてんの?」


 一人、納得していたら、佑香に声をかけられた。


 いや、ずっと声を無視していたのが正解っぽい。