レモンな初恋




 連也くんは怒りながら、あたしに「行くぞ」と言って二階に上がろうとする。



 そこを、お父さんがあたしの手を掴んで止める。


「え?」


 あたしも連也くんも、お父さんを見た。


 あたしの顔を見ると、お父さんは言ってきた。



「架樹ちゃんってもしかして……」


「おい、離せよっ」


 何かを言いかけたお父さんだったけど、連也くんが怒ってそう言うと、可愛らしく笑った。




「……あの?」



 不思議に思って聞くと、あたしの手を離したお父さんは、



「いや、別に。じゃあ、ゆっくり!子供は作んなよー」


 と笑って言った。



「は……?」



 訳が分からず聞くが、連也くんがあたしを引っ張ったので、黙ってついて行った。



「ねえ、お父さんいいの?」


「別に、大丈夫だから。」


「……そっか」




 あたしはそのまま、連也くんの部屋に入った。