レモンな初恋




 手を出して来たのであたしも出そうとすると、連也くんのお父さんはペチャクチャ喋りだした。



「架樹ちゃんだよね?悠ちゃんって呼んでくれたらいい……」


「黙れ、くそじじぃ」



 しかし、連也くんがすぐに止めた。



「……連也ー、くそじじぃは悲しいよー」


「……はぁー、だから帰ってくるときは言えって何度も言ってんのに」



 二人の会話を聞きながら、ふと思う。



 なんか似てる、と。


 いや、顔的な意味で。



 黒髪だけど、お父さんも本当にカッコいい。


 連也くんの顔は、お父さん似なんだ……




「えー、だってめんどいし」


「架樹が呼べないだろ……」


 はぁ、と何度目かのため息を漏らした連也くんは、お兄さんに見えてしまった。



「そ、それって……!なるほど、そっか、そうだよな。俺がいてたらセッ……」


 そこまでお父さんが言うと、連也くんはお父さんの頭を叩いた。



「……ってー!なにすんだよー」


「うるせぇ!お前が変なこと言うからだろ!」