レモンな初恋




 そう言って笑った湊が、なんとなく、カッコよく見えた。


「じゃあな、クッキー貰って帰るわ」


「あ、そう」



 きちんと持って帰るって、どんだけ食いたいんだ。



「涙のお供にするな」


「ははっ」



 冗談なのか本気なのかは分かんないけど、ちょっと笑えた。



「俺、坂野と架樹は上手くいくと思う。ってかそうじゃなきゃ許さねーから!」



 ミルクティーを一気に飲み干して、クッキーを持った湊は、笑いながら言った。



「うん、ありがと」



 玄関まで着くと、湊はドアを開けた。



 最初のような緊張はなかった。


 ただ、一つだけ言いたい。



「じゃあな」


「うん、気を付けてって言ってもすぐそこだけど。」


「おう、クッキーありがとな。じゃ、また」


「うん」


 手を振ってあたしに背中を向けた湊に言う。



「あのさっ!気持ちには答えられなかったけど、湊は大切な幼なじみだからっ!」