レモンな初恋




「……女、嫌いだし。仲良くしないって言った……」


 坂野くんはあたしを自分から離してから、変なものを見るようにあたしを見た。



 あたしは、少し寂しい気持ちと、なんでそんな目で見るのさという気持ちになった。


「でもね、あたしを女だと思わなきゃいいんだよ。そしたら仲良くできるじゃん」



 そうだ。どうせあたしなんて、色気もなければ可愛げもない……


 …………うぅ



「……そんなこと、出来ねえよ」


 俯きながらそう言う坂野くん。


 意味が分からず、聞き返す。


「え、なんで?」


「……学校行くか」


「えっ、だからなんで?」


「ほい、鞄」



 坂野くんは、あたしの言葉を二度も無視しながら、立ち上がって学校に行く準備をしていた。



 そして坂野くんは、あたしに鞄を投げてから、自分の鞄も怠そうに持った。


 それを受け取るとあたしは、急いで鞄を抱えて立ち上がった。


 歩き出した坂野くんを追いかけながら、


「ねえ、なんで?」


 と何度も聞き続けた。


 けれど、メガネをして変装をしながら歩く彼は。

 いつもの地味男に戻っていく彼は。


 なんにも答えてくれなかった。