その唐突すぎる言葉に若干引いた。
確かに、ついさっき出来たけれど。
これは言うべきか?
「だって架樹ちゃん、イケメンと湊くんが架樹ちゃんを取り合ってたじゃん」
湊と、イケメン……?
ぐるぐると思考を探ると、あの階段でのことを思い出した。
「あ……」
もしかしたら、クラスが静かなのってこういうことか。
そういえば、あの階段は行き来が多い。
現に、騒いでいる生徒も多かった。
クラスの一人や二人……見ていたって不思議じゃない。
だから、学校1のイケメンと謎のイケメンが取り合っていた子が戻ってきたらこうなるだろう。
でも、だからって連也くんのことは言えない。
あたしは大丈夫だとしても、女が嫌いってことには変わりがないわけだから、バレたくないはずだ。
「架樹?」
佑香は黙り込むあたしに、心配そうに尋ねてきた。
「実はあたしも見たの。あれが、架樹の言ってた人?にしても、ここの生徒だったなんて。あたし、見たことないよ」
その言葉には、意味が分からないという気持ちがこもってた。