「じゃあ、あたしもう行くね」



 ほんの少しの会話の後、あたしはそう言った。



「おう、俺はいつも通り、地味男になるから。遅れていくと思う。」


「そんなこと言って……サボらないでね?」



 ちょっと彼女っぽく言ってみたけど、連也くんは「らしくない」と言って笑った。


 なにさ、背伸びしたっていいじゃん!


 けれど、グッと堪えて屋上を後にした。





 そのまま何事もなくクラスに帰ってきた。


 ガラッと扉を開けると、みんなの目があたしに刺さった。


 けど、多分勘違い。



「佑香、はなそー」



 教室で他の子と喋っている佑香に話しかけながら向かった。



 何故か、騒がしいはずの教室が静かだ。



 ちょっと怖いかも。



 佑香に近づいていくと、佑香の周りにいた子があたしに話しかけてきた。



「ねえ、架樹ちゃんって彼氏いるの!?」


「え、いきなりなに……」