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「ええ!?彼氏にフラれた?
彼氏ってあの、爽やか王子で有名なあの吉村先輩?」
ある日の昼休み、昨日とは明らかに元気がない真希に問いただすと、いきなり驚きの言葉が出てきた。
「ほんとだよ。
普通にフラれたんだったら良かったのに。」
その絞り出したような真希の言葉に胸が締め付けられる。
真希は本当に大好きだった、いや今でも好きなんだ、吉村先輩のこと。
…そして、私でも分かった。
吉村先輩は普通のフリ方をしなかった。
ということはつまり…
「…私、浮気されてた…。」
そういう事、だよね…。
静かに涙を流す真希を、私は抱き締める事しか出来ない。
いつも助けてもらってばかりの私。
姉御肌で、いつも大人な真希だって、私と同じ高校生。
傷付かないわけない──!!
浮気なんてした吉村先輩が許せない……!!