「え…」
私の目は思いきり見開かれた。
「驚いた?」
やつが、今まで見たこともない優しい顔で私を覗き込む。
「う、嘘…」
「…嘘って。はあ~、俺ってつくづく信用ないよな。
─吉村の時も、俺のこと頼ってくんなかったし?まあ、頼りないのかも知んないけどさ…。」
少し拗ねたような声にきゅんとしてしまう辺り、私は重傷なんだと思う。
「あのときだって、俺必死だったんだけど。
お前がどんな目にあったかと思うと、すっげー辛かった。」
私が好きになったあの日。
私を支えてくれたのは日高だ。
私は首を横に振った。
日高が辛くならなくていいのに。
「だから、守り切れなかったぶん、これからずっと、お前のこと大切にしていきたい。」
私は嬉しくて、ふふっと笑った。
でも、言われてばっかじゃつまんない。

