「…っ馬鹿にすんなよ!日高のあほ!」




怒りが沸点に達して、バッグを掴んで私は教室を出た。



盗み聞きしといて、自分だけ大人になった気でいるわけ?



私に説教なんかするな。




いつもそうだ。日高は余裕な顔で、上から目線。




教室に置いていったあいつの事なんて、知るか。





「…はあ~。俺ってマジで信用されてないのな…。」





だから、教室にあいつの寂しそうな声に気づくはずもなかった。






──この時ちゃんと、日高の言うことに耳を傾けていれば、きっとあんな目に遭うことも無かったんだと思う。






沸騰した怒りは冷めないまま、打倒吉村のチャンスは突然やって来た。