(敦side)

忘れ物をしたような気がして
智の部屋に戻る。

だけどそこには何も無くて

真っ白な部屋と窓が1つあるだけ。

私の目に映る部屋に
もう智は行ってしまった事に
気づかされた。

あぁ、もう智はいないんだ。

智には守ってもらえる人が
出来たんだ。

智はもう私を…必要としてないんだ

…智とは何年一緒に
生活してきたかな?

智が初めこの部屋に来た時は
すっごく暗い顔で瞳の奥には
暗闇しかなくて光なんか
見えなかった。


最初は私でさえ触れたら
過呼吸を起こしていた。

毎晩毎晩寝る時に過呼吸を起こして

泣き叫んで暴れて
私が抱きしめてそれを抑える。

食事も、最初は
ろくに食べてくれなかったし
食べても少量。

最近やっと食べられるように
なったみたい。

それゆ過去のトラウマの
ストレスが祟って
体重がグングン落ちてたみたい。

智と過ごしてもう5年?

泣く事や苦しかった事のほうが
多い感じもするけど、

その中で微かに、少しだけ
智が笑ってくれた事もあった。

智は双子の妹みたいな感じで、

やっぱりさ
本当の姉妹じゃなくても、

妹が出て行くって寂しいよ。

「…っ……」

気づいたらどんどん涙が溢れて
止まらない。

「…あっちゃん?」

何も無い部屋で1人泣いてたら
友也が来てくれた

「…友也」

「…辛いよな」

「…ヤダよ。
…智の幸せを願ってるはずなのに
……それなのに会わせなきゃ
良かったって思ってる。
…私、最低だ」

「…そんなことない。
そんなことないよ」

友也は私の背中を
ずっと摩ってくれて

気づけば友也の優しさに
甘えていた。