あれから何日が経ったんだろう。

あの日からよりいっそう
冬の寒さは増していく。

そんな時、

あっちゃんは俺を
屋上に呼び出したんだ。

「…どうした?」

「…あれから智の事、考えた?」

「…考えたよ。だけど…」

考えたけど、

正直どうすればいいのか
よくわからないんだ。

まだそうと決まったわけじゃないし
そうだと証明できる物もないんだから。

「…確かに友也の考える事も分かるよ。
…まだ不確かだしね。
だけど、あと一つそうじゃないかって
確信がもてるものがあるの」

「…なに?」

「…智と、奈々ちゃんの事。
きっと2人は…姉妹だよ」

「…どうしてそう言えるんだ?」

「…私、偶然見ちゃったの。
奈々ちゃんの引き出しにあった
半分だけ破れた写真を。
それは智も似たやつを持ってたよ。
だからきっとそうだってわかるの」

「じゃあなんで奈々ちゃんに
妹がいるってわかるんだよ?」

「…私あの放課後のお手伝いの時に
友也と奈々ちゃんが話してたの
偶然聞いちゃったの」

奈々ちゃんと日向が姉妹?

じゃあどうしてあっちゃんは
今までその事を黙ってたんだ?

「…どうして今までその事を
黙ってたんだよ?」

「…智のことが大切だからに
決まってるじゃん。
…あとさ、別れよって言ったじゃん?」

「…うん」

「…この前は取り乱して言えなかった
から今からちゃんと言うね。
……別れよっか」

「…俺たちもう、ダメなの?」

「…友也には忘れられなかった人が
見つかったじゃん。
……でもね、私はずっと…大好きだよ」

「…あっちゃん」

「あとね、こんな事言うの
わがままかも知れないけど、
一つだけお願い聞いてくれる?」

「…うん」

「…もう一度だけ、ギュッて
抱きしめて?」

「…わかった」

俺は泣きじゃくるあっちゃんの
背中にゆっくり腕を回して
抱きしめた。

「…俺も大好きだよ」

「…わかってるよ。
それも友也の優しさだって。
…ほんとに…ありがと」

あっちゃんはそれだけ言って
その場から立ち去った。

きっと彼女はこの何日かの間に
考えに考え込んで
出した答えなんだと思う。

泣きながら『ありがとう』って言って
笑ったあっちゃんの顔を
俺は絶対に忘れない。

この何ヶ月か、
俺のワガママに付き合ってくれて

こんな俺を好きになってくれて

大切なことを教えてくれて

本当に、ありがとう。