月夜の黒猫






『神崎さんこっち(オイデオイデ)』



美「?」




私はナイフを抜きとってから神崎さんに手招きした。

神崎さんは疑問符を頭に浮かべながらもフラフラ立ち上がって私の近くまできた。


























『手出して。』


美「あ、はい。」
ザクッ

『ん。』






私は神崎さんが差し出した手首の紐を奪ったナイフで切った。







美「ありがとうございます!」

『ん。とりあえず後ろに下がってな。』

美「はい。」







私は神崎さんが後ろに下がったのを確認して男を掴んでいた手を離しとりあえず間合いをとった。
































城「っ、いてぇー…、マジててめぇは許さねぇ」



『………』




そう言って男は肩をおさえながら振り返り鋭く睨んできた。


































『はぁ、クロこれ持って神崎さんと下ってて。』


クロ《ニャー》






私はため息を吐き眼鏡を外して後ろ手で投げた。


クロはそれを見事にキャッチし軽い足取りで神崎さんの前に陣取った。



因みに眼鏡を外した理由は視界をクリアにするため。眼鏡をかけていると視界がボヤけてめんどくさいからだ。ま、前髪は止めるものもないからそのままでいいか。


私は特に構える事無く前を見据えた。






























城「…後悔させてやる!」








そう言って男は私の方に間合いを詰めて殴り掛かってきた。


それでも私は動かなかった。

































美「月詠さん危ない!」


鬼龍「!」




神崎さんの切羽詰まった声が聞こえてきたが私はギリギリまで相手を引きつけた。