駅のホームとインディゴブルー

「体張ったね…」

「盛り上がりに水を差すのは悪いと思って諦めましたよ結構前に」

「確かに水穂くんが出てきたときが一番歓声すごかったね」

残念ながらメイクをしてセーラー服を着た水穂くんはかわいかった。

元々顔は整ってるし、線も細いし、全体的にふんわりとした雰囲気だから納得はできる。

「今すぐ土に還りたいほんとに」

「だからあんまり来て欲しくなかったんだね…」

電話での歯切れの悪さも、教室に入ってきて欲しくなかった理由も、去り際の曇った表情も、今になって全て理解できた。

「いや、それもあるけど」

すると水穂くんは、パッといつもの表情に戻ってわたしを見つめる。

「けど?」

「みんな浮き足立ってるから…俺のいないところで飛鳥が変な奴に絡まれるんじゃないかと思うと気が気じゃなくて」

思わず目を見開いてしまった。

反射的に息が止まる。

次第に顔が熱くなっていくのがわかった。

水穂くんはいたって変わらぬ顔をしている。

わたしは、ごまかすように顔の前で手をぶんぶんと横に振った。

「ないない!このビジュアルですよ?」

「何言ってんの、俺のクラスメイトが『めっちゃかわいい』って陰で連発してたよ、飛鳥たちが来たとき」

「それ、芽以子のこと言ってたんだよ!」

わたしじゃありませんって!