駅のホームとインディゴブルー

「…元気出して」

「もうやだ生きるのつらい」

水穂くんは両手で顔を覆って俯いていた。

芽以子は用事があると言って先に帰ってしまったので、わたしと水穂くんは高校の最寄りの駅で待ち合わせをして、今は2人で電車が来るのを待っている。

「あの、その…落ち込むことないって!」

「恥ずかしすぎる溶けて消えたい」

水穂くんはなおも顔を上げない。

「ごめん、そういうこととは知らずに…」

時間になって芽以子と一緒に体育館に行ったわたしは驚愕した。

まさかミスコンは女装した男子が、ミスターコンは男装した女子が参加対象者だったなんて。

「俺だって出たくなかった…」

「でもほら、グランプリだったし!おめでとう!」

「飛鳥それフォローになってないどころか傷えぐってるから」

「すいません…」

「結局お目当てだった推薦者用賞品が手に入ったんだから、勝手にエントリーしたあいつもさぞお喜びでしょうよ…」

そう言うと水穂くんは顔を上げて、遠い目をした。

ちなみに教室には水穂くんがメイド服を着ているように合成した等身大パネルがあり、そっちのジャンルに詳しい方々の票も得つつ、ワッフルの売り上げも伸ばそうというクラスメイトの陰謀だったらしい。

わたしたちが来たのと同時くらいに、水穂くんが慌ててこっそりベランダに隠してしまったから見れなかったけど。