駅のホームとインディゴブルー

信じていなかったとかそういうわけではなく。

それでも何か心配で。

あんまりいい気はしないじゃないですか。

やきもちも焼きますって、そりゃあ。

すきなんですから。

付き合ってるんですから。

だから、とても嬉しかった。

『その気持ちは俺だけの大切なものだから、彼女にしか言わない』

思い出すと、どうしても口角が上がってしまう。

かないませんよ、何なんですかあなたは。

ありがとう、すきでいてくれて。

これ以上のことはないよ。

一段一段、ゆっくりと階段を下りていった。

…ナガヌマさんは、結局水穂くんにすきと言わなかったな。

水穂くんがわたしと出会うのが、ナガヌマさんよりも前だったら何て言うつもりだったのだろう。

「わたしより…」の続きは何だったんだろう。

本当に冷めちゃったのかな。

すきだった気持ちって、どこに行ってしまうものなんだろう。



ワッフルの教室に戻ると、出入り口の前で芽以子が歩き去っていく男の人に手を振っているところだった。

作り笑いで。

「おかえりー」

「さっきの人は?」

「最近の若いのはボキャブラリーってもんを知らないのかねぇ。『連絡先教えて!』のワンパターンですよ」

「あぁー…お疲れさまです」

わたしがいないものの数分の間に、芽以子はいろいろとご苦労をされたようだった。