教室を出ると同時に夏樹ちゃんの小さな手に

俺の手を重ねる。

後ろを少し見ると驚いた様子だったけど

俺が力を込めると、それに応えてくれる。

誰も使わない空き教室に入る。

夏樹ちゃんは何も言わずに着いてきてくれた。

教室に入って数歩歩いたところで

夏樹ちゃんの手を離した。

「…」

「…」

沈黙がとても長く感じる。

「…あの、さ…

いきなり、ごめん。」

「…いえ…。」

「夏樹ちゃんにちゃんと話したいことがあって…」

夏樹ちゃんは少し俯いたまま返事をしなかった。

「愛の、ことなんだけど…。」