美月side


「もう疲れた……何もかも……」

あたしはそう呟いた。

終わりにしよう。
こんな苦しくて疲れるこの世にいてもあたしに幸せなんて来ないだろう。
それなら死んだ方がマシ。

よくこんな時、漫画やドラマならカッコ良くて優しい男が現れて、引き留めてくれたりするよね。

さて、あたしの時は現れてくれるのだろうか?
楽しみだ。

フッ…

彼女は乾いた笑みを浮かべて飛び降りようとした時。

「なぁ…」

誰かが後ろから声をかけてきた。

あたしはその声がした方に視線を向けた。

そこにはフードを被った男が足を組み壁にもたれ掛かっていた。手には吸いかけのタバコ。

フードを被っている所為で顔は見えないが服装的に若そうだ。

「何?」

あたしは冷たく言った。

引き留めてくれるだろうか?と言ったが本気で引き留めて欲しいなんてこれっぽっちも思ってない。

むしろ引き留めてくれた方が迷惑だ。

だって、あたしは死にたいのだから……