満月が綺麗な夜…
30階建てのビルの屋上の端。

一人の女が立っていた。




しっかりした目鼻立ち、潤った唇、長く美しい黒髪…

そこから溢れ出す色気…

彼女と擦れ違った男は皆、必ず振り返りその美貌と色気に釘付けになるだろう。



サワサワ-

美女はその美しい髪を風に遊ばせ、その場から車や人が激しく行き交う道路を見下ろしている。

しかし、その目には光が全く感じられない。

どこか闇に囚われているような……



そして彼女がポツリと呟いた。









「もう疲れた……何もかも……」