Magic Hands





「う、うわあ…雨だあっ」


「暁さーんっ、傘どうぞーっ!」




一斉に何個もの傘が差し出される。

「わ、わたしっ、持ってるので!」



家へ帰ろうとした時に女の子の悲鳴や
周りのザワザワした空気にきっと



彼が来たんだろうと思った。


「暁…、暁 若嘉って居る?」


なんで彼がわたしを。


「平野くーん、若嘉ココでーす!」
「え、ちょっと美里ちゃん!」


友達の桐沢 美里ちゃんが
わたしを指さしてそういった。

「…若嘉、見つけた」




い、いいいいきなり
後ろから抱きしめてくる彼は


この学校の王子様、平野瞬くん。