箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「あっ」

 そうか、この子には家族がいない──自分の思考に思わず口の中で声を上げた。

 それどころか普通に生まれてすらない。

 照れた顔の自分を映してくれる相手などいないのだ。

「これはどういった時の写真ですか」

「ああ、これはね──」

 この子にとっては、どんな写真も代え難いものなんだろう。

 僕にとっては嫌な場面の写真であっても、この子にとってはその時の時間を共有してもらえる人がいるということなんだ。