「過去の出来事を憎むなら、それらを正しく使用する事こそが重要ではないでしょうか」

 人を憎む事は容易い。

 だが、同じ種を愛せないものがどうして平和を望めるだろうか。

 ブルーは静かに語った少年から視線を外した。

 まだ幼く、その意思は若い。

 しかし、この先ベリルはさらにその意志を成長させるだろう。

 これが幼さの感情であるとは思えない。

 自分たちでは感じ得ない何かを感じ、深く悟って強くあろうとしている。

「解った。明日からは体術も加えていく」

「はい」

 ぎこちなく笑った顔に、ブルーも笑顔を返す。