「どうしてそれを知りたい」
少年の真意が知りたくて問いかけた。
「色んな街を見てきました。平和な街も、戦争で滅びた都市も──その破壊力に感嘆するばかりです」
施設から出る事の適わない少年は、学びのために一日一時間はディスプレイに映し出される外の映像を眺めていた。
それが人工生命体の精神を計測するものなのか、単に知識の一環としてのものなのかは本人には知り得ない領域だ。
「過去の戦争も学びました。それにより、人や武器を憎む事も出来たと思います。しかし今、笑顔で生きている人々がいます」
その人々は戦いを求めている訳じゃない、誰かが傷つく事を望んでいる訳じゃない。