箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「今までの視察に、私は人として見られませんでした」

 続けられた言葉に目を丸くしたマークに笑みを苦くする。

「品種改良した犬や猫と大差ない」

「そっ、そんな訳──無いじゃないか」

 マークは頭に鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

 自分もこの子をそう見ていなかっただろうか、彼らと同じ視線でいたかもしれない。

 人工的に造られた生命、それでも心は存在する。

 それは今までのやり取りで充分に解ったじゃないか。

 僕と違ってとても落ち着いているだけなんだ、この子は紛れもなく人間だ。

 思えば、ここにはこの子と同じ歳の友達がいない。

 皆、大人ばかりで少年と楽しい会話を交わすだけの人がいないじゃないか。

 マークは決心したようにきりりと目を吊り上げた。