箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 視察が来る時は必ずベルハースが一緒にいた。

 しかしマークにだけはそれもなく。

 以前、自分の名を視察員の前であげた事に少年は驚いた。

 何かの意図があるのだろうか。

 ベルハースの考えている事を少年は図りかねていた。

「……えと」

 ピアノの椅子に腰掛けて、じっと見上げるベリルに戸惑いマークはぎこちない笑顔を浮かべた。

「こんにちは」

「こ、こんにちは」

 先に口を開いたベリルに緊張気味に応えながら少年の笑顔にホッとする。

 彼は人工的に造り出されたがロボットじゃない。

 笑うのは当たり前だろうに、少年の笑顔に歓喜の声が出そうだった。