「私の事はなんと」

「うん? 天才少年だろう」

 不可解な質問に男は怪訝な表情を浮かべた。

 上からは「キメラ」という名を聞かされたが、ベルハース教授は少年の事を「ベリル」と呼んでいた事で、何かの軋轢(あつれき)があるのかもしれないと想像はしている。

 しかし、少年はそれ以上は何も言わず置いてあるマシンに手を滑らせていく。

 まるで新しい玩具を与えられた子供のように、その瞳だけは輝いていた。

 そこに狂気性は垣間見えず、少年の瞳の輝きは何なのだろうかと男は眉を寄せる。

 顔見せだけのため、ブルーはそのまま自分の部屋に戻るように指示された。