「上の人間にとってあの子は実験の対象でしかない」

 無表情に語られた言葉に、そこにいた者たちの顔が強ばる。

 少なくとも、ここにいる人たちはそう思っていないという事なのか。

「講義の様子を眺めるのも構わんよ」

 それから青年は何度か少年の様子を観察し数日後迎えのヘリに乗り込んだ。

 見送るベルハースの瞳は、何故だか複雑な色を浮かべているように青年の目からは見えた。