箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「その方が実験はスムーズに進む。理解しない子どもほど厄介なものは無い」

 険しい表情のマークを意に介さず、淡々と応えて歩き出す。

 後ろから小さな溜息が聞こえたが、ベルハースはそれにもさしたる反応は示さなかった。

「他に、何かありますか?」

 ここで言い合っても仕方が無いとマークは仕事を優先した。

 自分は所詮、ただの視察員に過ぎない。

「特には無い。感情の起伏があまり見られないが問題は無いだろう。あとは生殖能力が欠如しているくらいだ」

「生殖能力の欠如? 問題ないのですか?」

「その部分について彼を対象に研究は出来ないが、その他の部分についてはデータを見てお解りの通り、大成功だよ」

 それから科学者たちが集まる部屋に案内される。

 そこには、ベリルを監視しているカメラのディスプレイがいくつも並べられていた。