箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「はい。ベルハース教授も」

 ベリルは無表情に二人を見上げる。

「新しい視察の者だ」

「あ、こんにちは。マークです」

「こんにちは」

 差し出した手を握り返す少年をじっと見下ろす。

 九歳とは思えない物腰がマークの思考を混乱させた。

「何か希望はあるかね?」

 ベルハースの質問に少年は思案するようにしばらく宙を見つめた。

 見れば見るほど子どもらしくはない。

 もしかすると自分よりも落ち着いているのではないかとマークは呆然とした。

「そうですね、銃を扱ってみたいです」

「ふむ。君が十歳になったら戦術を学ぶ。その時にでも扱えるだろう」

 少年の言葉に驚いたマークはベルハースの返事にも驚いた。

 閉じこめている子どもに銃を扱わせるだって?

 なんの冗談なんだ。