「そ、それでですね。No.6666(フォーシクス)についてですが──」

「ベリルだよ」

 男は好奇心の眼差しを向ける青年に冷たく言い返した。

 今まで聞き慣れたものだが、やはりその言い方は気に入らない。

「え?」

「ベリルだ。我々が名付けた」

「はあ」

 ひとまずの納得を示した青年を確認して再び歩き出した。

「キメラでも良かったのだがね、俗物的な名前は気にくわない。やはりそれなりの名を付けるべきだ。そう思わんかね?」

 どうしてそんな名前を?

 口元だけで笑うベルハースにマークは怪訝な表情を浮かべた。

 それを察したのか、ベルハースは立ち止まりゆっくりと青年に向き直る。