「そういう訳だから、次の言語学者が来るのは一週間後だ」

「解りました」

 少年はベルハースの報告に目を伏せた。

 四歳あたりから街に設置してある監視カメラの映像や過去の戦争など、人類の歴史を学ばせてきたが──この子は感受性が強いのかもしれない。

 ただ、それを表情に出す事をしないだけなのだ。

 しないのか出来ないのかは解らない。

 しかし感情が無いのではなく、もしかしたら我々とは異なるスピードで数々の事柄を考えているのではないだろうか。

 ベルハースは少年の窺い知ることの出来ない表情を見下ろす。