箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 それは音もなく開き、クリーム色の壁紙で覆われた何の変哲もない部屋がアリシアを迎えた。

 どうやら自分にあてがわれた部屋らしく、書斎らしき部屋と寝室、そしてトイレに風呂場があるだけだ。

 部屋を案内してくれた男性はここの警備員だろうか、少し笑みを見せると見取り図やここでのルールが記された紙を手渡して去っていった。

 その説明に目を通していると、けたたましく電話が鳴りアリシアは飛び上がるほど驚いた。

 あとで音量を下げておこうと思いながら赤いプッシュホンの受話器を取る。

<アリシアさんだね。ピアノ教師の>

 落ち着いた老齢な男の声が耳に響く。