ブルーは私を人類の理想だと言った。

 彼が考えていた事の全てをくみ取ることは難しい。

 少なくとも、彼を失望させないようにしなくてはね。

 ベリルは、ブルーを思い起こして小さく笑った。

 ──いがみ合い、争い合う人類は彼の中で一つとなっている。

 それは、科学者たちの儚い夢だったのかもしれない。

「人種など、どうでもいいじゃないか」

 ベルハースの笑い声が聞こえてくるようだった。

 その隣には、サイモンやランファシアたちも笑みを浮かべてこちらを見つめている。

「見るがいい。何の不具合も無く、全ての人種のDNAがここにまとまっているだろう?」

 そんな言葉が脳裏に響く。