「──よかった」

 声を詰まらせながらも噛みしめるようにつぶやくと、ボトルを抱きしめてうずくまった。

 これで、僕の役目は終わった。

 この国ももう長くはないだろう。

 全てを道連れにしていくよ。

 だから、君は安心して君の思う道をひたすらに突き進んで欲しい。

 君ならば、その永遠をきっと上手く使いこなすことだろう。

 だからこそ、君に与えられたのだと思う。

 もう、何も悔いはない。

 今までの感情が堰(せき)を切ったように溢れ出し、涙となって洗い流されていく。

 その腕の中にあるボトルは、語りかけるように琥珀色の液体を静かに揺らしていた──