箱庭の螺旋-はこにわのらせん-


 ──それから一年が経ち、エメラルドの瞳に存在感が際立ち始める。

「あの子は素晴らしい! まだ四歳だというのにカタコトだが三カ国語を覚えたぞ!」

 ハロルドが満面の笑みを浮かべてベルハースに声をかけた。

 彼はそれに呆れながらも笑みを返す。

 しかしすぐ、

「それはいいが」

「なんだね?」

「しゃべり方が少々、子どもらしくないと思うのだが」

 その言葉に、ハロルドは口角をつり上げた。

「当然だ、あの子は特別なのだぞ。それなりの言葉遣いにしてやらねばならん」

「そうか」

 何かを含んだ物言いにも感じられたが、いつもの事だと肩をすくめた。

 さらに一年が経過し、少年は六カ国語をマスターした。

 ハロルドの喜びはさらに増す事となる。