箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

「実際は仮死状態だったらしい。致死量には足りなかったのだろう」

「致死量?」

「奴が何故、私の口調にこだわったのか」

 険しい表情で天井を見上げる。

「あの襲撃は彼の計画だったと──!?」

 マークは、あまりの話に思わず立ち上がる。

 行き場のない怒りに手が震えた。

「彼は、君を人類の王にしようとしたのか」

 ──ハロルドの思想は危険だと判断した政府は彼を毒殺した。

 運良く息を吹き返したハロルドは、殺されかけた事への憎しみをぶつけるように、ベリルを奪う計画のなかで施設の人間を皆殺しにするようにと傭兵に命じたのだ。

 この世界には支配者が必要だという彼の説には、まさにベリルが相応しかったのだろう。