精一杯に生き、満足のいく死を望んでいたに違いない。

 皮肉な話だが、不死になっても続けられる仕事としてはまさにうってつけだ。

 あの頃よりも人間くさく、勇ましく感じるのは、育ててくれた人間の影響なのだろうか。

 逃げたあと、初めに出会った相手がフリーの傭兵だなんて、生まれ持った強運としか言いようがない。

 その傭兵に出会ったことも、少女に出会ったことも、不死を得たことも、全てはベリルという存在なればこそではないだろうか。

 そんなことを考えながら、ブランデーを傾けるベリルを見つめていた。

 成長した彼を見られるなんて、神様がいるなら感謝したい気分だ。

 歳を取った姿を見られないことは残念だが、今はこうして共に酒を酌み交わす時間を与えられた喜びに浸っていたい。