見下ろすのは昔と同じだけれど歳を食ったぶん、こちらの体が縮んでいるのかベリルとの目線が近くなっていた気がした。

「じゃあ、本当に?」

 まだ完全には信じられないが、その瞳に嘘はなかった。

 ベリルは、とりあえず落ち着いたマークを確認し、持っていた木箱をテーブルに乗せる。

 檜(ひのき)で作られた箱には、大層なエンブレムの焼き印がつけられていた。

「ブランデーだな。こいつは高級品だ」

 今まで手にすらしたことのない品に、箱をまじまじと眺める。

「お世話になりましたから」

 言って、箱からボトルを取り出した。

 その多くは琥珀色の液体を楽しむためなのか透明のボトルなのだが、これはまるで何かを通して見えるものを感じろとでも言うように、深い緑が中の色を隠していた。