「お久しぶりです」

 その青年は柔らかに微笑み、体を強ばらせているマークを見つめた。

 彼の驚きを予想していたのか、動かないマークに再び笑みを浮かべる。

「そんな、馬鹿な」

 震える足で立ち上がり、青年をまじまじと見やった。

 金髪のショートヘア、エメラルド色の瞳に整った面持ち。

 自分の目が信じられず頭を横に振る。

 覚えている。

 忘れるものか。

 この顔立ちは紛れもなく──

「ベリル? 本当に?」

 無言で頷き、三度(みたび)笑みを見せた青年にマークは体を震わせてまた首を振った。