箱庭の螺旋-はこにわのらせん-

 優れた科学技術を有し、それらを輸出しているとはいえ、それのみでは国を維持するだけで精一杯なのだ。

 多くの技術はすでに他国と拮抗を始めている。

 マークは、リビングの窓からレースカーテン越しに外を眺めた。

 車の駐まっていない煉瓦造りの道路を見やり、溜息を吐いてソファに腰を落とす。

 髪はすっかり白くなり、肌の張りも失われて曲がりかけた背中に不満はあれど、気力だけは今も若い頃と変わらない。

 国の仕事を辞めて三十年、ようやく僕の監視は解かれたらしいと安堵して背もたれに体を預ける。

 確かに、あの時の僕の言動は周りから見ても変だったろう。

「襲撃に関わっていたかもしれない」と考えられてもおかしくはない。

 ベリルが生きているなら接触する可能性があると考慮し、家には盗聴器まで仕掛けられている。